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自然災害で事業不能→給料はどうなる?

 

 

台風15号・19号の被害に遭われました皆様には

心よりお見舞い申し上げます。

一日も早く日常生活に戻られますことをお祈り申し上げます。

 

【厚生労働省 ホームページ紹介】
 台風19号の被災者の皆様へ(情報は随時更新)
 令和元年台風第19号に関する情報を掲載しています。
  ■健康・医療  ■介護・福祉
  ■雇用・労働  ■年金  

 

 

【疑問!】
 台風被害で事業不能(会社が休業)となってしまった場合、
 従業員は給料(休業手当)をもらうことはできるのでしょうか?

 

【回答(原則)】
 簡略化した回答(詳細は後段)

 

 企業側に責任のある休業を行った場合、本来、

 企業は従業員に対して
 休業手当(平均賃金の100分の60以上)
 を支払わなければなりません。
  (労働基準法 第26条 休業手当)

 

 しかし、休業の原因が天災事変等の不可抗力

 であって、企業が最大限の回避努力をしていたにも
 かかわらず事業不能となってしまったと判断される場合は、
 企業に休業手当の支払い義務を負わせない。
 これが法律的な原則的判断となります。
 (詳細は最下段のQ&A抜粋欄 をご参照ください)

 

 ただし不可抗力・回避努力等は実態により判断されますので、

 自然災害であれば常に認められるというわけではございません。

 

 また休業中の給与を支給する企業もあり、年次有給休暇を使う

 ケースもあろうかと思います。
 ご自身のお勤め先の就業規則・賃金規定等をご確認ください。

 

 

 

 

 

【災害救助法が適用される場合の国の支援策(雇用保険)】

 

個人向け支援策(雇用保険制度の特別措置)

 災害救助法が適用された地域にお住まいの一時離職者の方に対して、
 失業した場合と同様に基本手当を支給するという雇用保険制度の

 特別措置が設けられております。

 

 この特別措置は、
 災害救助法の適用地域(確認要)の事業所が災害により事業が

 休止・廃止したために、一時的に離職を余儀なくされた方について、

 事業再開後の再雇用が予定されている場合であっても、

 雇用保険の基本手当を受給できるというものです。
 (通常は再雇用が予定されていれば受給できません)

 

 ただし、この特別措置にはデメリットもございます。
再離職した場合に振りとなり、あとから「請求しなければ良かった」

 と後悔するケースも出てくる可能性のある制度ですので
申請にあたりましてはハローワーク又は専門家にご相談の上、
慎重にご判断ください。
(下記Q&A:Q-5、A-5をご参照ください)

 

  内閣府:災害救助法の適用状況:内閣府防災ページ
  厚労省:台風19号 雇用保険の特別措置に関するQ&A

 

 

企業向け支援策(雇用調整助成金)
 

台風15号・19号に伴う「経済上の理由」により休業等を行う

事業主を対象として、特例措置が実施されます。
(詳細は下記パンフレットをご確認ください)

 

雇用調整助成金の特例実施パンフレット

 

 

 

 

 

 台風19号の被害に伴う労働基準法や労働契約法の判断につきまして、
 厚生労働省からQ&Aが公表されております。
 「令和元年台風第19 号による被害に伴う

  労働基準法や労働契約法に関するQ&A

 

 その中に休業手当についての説明が記載されておりますので、
 以下に一部抜粋して掲載いたします。

 【労働基準法等Q&Aの一部抜粋】
   (休業手当に関する部分)

 Q1-4
 今回の台風による水害等により、事業場の施設・設備が直接的な

 被害を受け労働者を休業させる場合、

 労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」による休業に

 当たるでしょうか?

 

A1-4
 労働基準法第26条では、
 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、使用者は、

 休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)

 支払わなければならないとされています。

 

 ただし天災事変等の不可抗力の場合は、

 使用者の責に帰すべき事由に当たらず、使用者に休業手当の

 支払義務はありません。

 

 ここでいう不可抗力とは、
 ①その原因が事業の外部より発生した事故であること
 ②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお
  避けることのできない事故であること
 の2つの要件を満たすものでなければならないと解されています。

 

 今回の台風による水害等により、事業場の施設・設備が直接的な被害を受け、

 その結果、労働者を休業させる場合は、休業の原因が事業主の関与の範囲外

 のものであり、事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお
 避けることのできない事故に該当すると考えられますので、

 原則として、使用者の責に帰すべき事由による休業には該当しない

 と考えられます。

 なお、Q1-2・A1-2 及び Q1-3・A1-3もご覧ください。

 

Q1-5
 今回の台風により、事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていませんが
 取引先や鉄道・道路が被害を受け原材料の仕入、製品の納入等が
 不可能となったことにより労働者を休業させる場合、
 「使用者の責に帰すべき事由」による休業に当たるでしょうか?

 

A1-5
 今回の台風により、事業場の施設・設備は直接的な被害を受けていない場合には、
 原則として「使用者の責に帰すべき事由」による休業に該当すると考えられます。
 (※原則、休業手当の支払い義務ありということです。)

 

 ただし、休業について、
 ①その原因が事業の外部より発生した事故であること
 ②事業主が通常の経営者として最大の注意を尽くしてもなお避けることのできない

  事故であること
 の2つの要件を満たす場合には、
 例外的に「使用者の責に帰すべき事由」による休業に該当しないと考えられます。

 

 具体的には、取引先への依存の程度輸送経路の状況、他の代替手段の可能性
 災害発生からの期間、使用者としての休業回避のための具体的努力等
 総合的に勘案し、判断する必要があると考えられます。

 なお、Q1-2・A1-2 及び Q1-3・A1-3もご覧ください。

 

 

 

  被災された皆様が
  一日も早く日常生活を取り戻されることを心よりお祈り申し上げます。

 

 

  社会保険労務士事務所スローダウン
   特定社会保険労務士
   カスタマー・ハラスメント対策コンサルタント
   室岡 宏

 

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