☆先日、東京商工会議所・江東支部主催の講演会を受講させていただきました。
◇演題:『AI・ブロックチェーンの台頭とビジネスモデルの大転換の始まり』 ~世界・日本経済を展望する~ ◇講師:一橋大学名誉教授 野口悠紀雄さん
◆講演内容の概要 ・AI・ブロックチェーンができること・見込まれること。 ・世界の現状。 ・日本の「中小企業」「仕事」への影響。 ・これから我々が考えていくこと。
◆野口悠紀雄さんのプロフィール 1940年東京生まれ。1963年東京大学工学部卒業。1964年大蔵省入省。 1972年エール大学経済学博士業を取得。一橋大学教授、東京大学教授、 スタンフォード大学客員教授などを経て、 2005年4月より早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授。 2011年4月より早稲田大学ファイナンス総合研究所顧問。 一橋大学名誉教授。
◆講演内容
<はじめに> ■AIもブロックチェーンも、コンピューターの新しい挑戦です。 ■AIやブロックチェーンと聞くと、 自分の会社とは無関係の遠い話と思うかもしれません。
■しかし、AIもブロックチェーンも、 政府や大企業だけのものではありません。 ■AIやブロックチェーンの仕組みを作ることは、 ある程度大きな組織が行うことになると思いますが、 それを使うのは、そして使わなければならないのは、 企業の規模に関係なく、すべての企業です。
■どんなに規模小さくても、 無関係な企業は世界中に一社もありません。 (そして個人も同じです。)
■まずそのことをよく認識しておいてください。 ■AI・ブロックチェーンをうまく利用できた企業が、 今後発展していくのです。
<AIができるようになったこと:パターン認識(図形認識)> ■これは、例えば「写真を見て、男女を判断する」などのことです。
■今までのコンピューターは写真を理解することはできませんでしたが、 AIの発展によりそれが可能となりました。 ■これは、私(野口さん)が学生だった時からの夢でした。 ■それがこの数年の急速な進歩により可能となったのです。
■この技術により、レベル5の完全自動運転が可能となれば、 タクシー・バス・トラックなどは無人運転となることが考えられます。 ■またそれにより自動宅配が普及すれば、 コンビニエンスストアなどでの買い物が減ることが考えられます。
■さらに自動車を個人で保有しなくなり、 駐車場や自動車修理工場やガソリンスタンドが激減する可能性があります。 ■運転免許制度も大きく変わり、自動車保険も大きな影響を受けることになります。
■それ以外にも、手書き文字の自動読み取りによる業務効率化、 CT画像診断等の医療分野への応用、顔認証システムの活用など 様々なことが考えられます。
■現に中国では、交差点に設置されたカメラで、 信号無視して横断歩道を渡ろうとした歩行者に対して、 「〇〇さん、信号を守ってください!」 と交差点で自動アナウンスが流れるまでになっています。 ■顔認証技術はすでに実用レベルにまで達しているということなのです。
■個人情報に対する考え方、個人情報管理の考え方が 日本や西欧諸国と異なる中国では、 良くも悪くも顔認証などの技術がより早く発展し、 どんどん活用されていくものと考えられます。
<AI:ニューラルネットワークとディープラーニング> ■細かい説明は省略しますが、 ここ数年でAIの技術が急速に上昇したのは、 「やり方を変えたから」なのです。
■その始まりは2012年です。 ■googleの研究開発によって、 「コンピューターが猫を認識できる」ようになりました。
■googleは、AIが猫を認識できるようにするために、 膨大な数の猫の写真をAIに学習させたのです。 ■その膨大な写真をどこから入手したかというと、 それは、Googleが買収した「You Tube」の動画からでした。
■AIの教育(ディープラーニング)のためには、 大量のデータ(ビッグデータ)が必要となります。
■その膨大なデータを握っているのが、 「GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)」であり、 「アリババ、(ファーウエイ、テンセントなど)」なのです。 ■ビッグデータを使えるのは世界の中でも限られているのです。
■しかし、AIを開発できるのは限られた大企業などであったとしても、 AIの成果を「利用する」ことは誰でもできるのです。 ■それをごちゃまぜにしてはいけません。
<AIの限界> ■限界は、過学習(オーバーフィッティン)と言われるものです。 ■学習データに対しては正しい答えを出せますが、 しかし新しいデータでは間違ってしまうのです。
■そこで「汎化性能」が必要となります。 ■これは学習データに対してだけでなく、 新たなデータも正しく予測できる能力のことを言います。
■多くの人がAIについて持っているイメージは、 汎化AIだと思いますが、 現在あるAIは「特化型AI」です。
■現在のAIができることは、極めて限定的なタスクです。 ■いかなる仕事をどのように遂行するかは、人間が指定します。
■ただし、限定化されたタスクについては、 人間より遥かに高速に、遥かに正確に仕事を遂行してくれます。
<ブロックチェーン>(※説明は時間の関係で少しでした。) ■ブロックチェーンの特徴は、 ①書き換えができないようにすることができること。 ②管理者を必要としないこと。 です。
<これからの分散自立型社会> ■AIとブロックチェーンの進歩により、 人間の「労働」としての仕事がなくなっていくだけではなく、 「管理者の仕事」も奪われていく可能性があります。
■しかも、これは遠い将来の話ではなく、 近い将来確実に起こることなのです! 誰にとっても他人事ではありません。
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◇しかし、なくなっていく仕事とともに、 かえって価値が上がっていく仕事も存在し、 人間がやる仕事は確実に残ります!
◇すべての人が、 「人間がやるべき仕事とはどんな仕事なのか」 と常に意識しながら日々を過ごしていくことが大切である、 と考えております。
⇒これで本日の講演を終了させていただきます。 ご清聴ありがとうございました。
☆政府により社会保険・労働保険分野でもどんどんデジタル化が進められており、 社会保険労務士の業務も、その多くの部分が、 どんどんコンピューターやAIに代替されていくと思われます。
☆事務手続き以外の分野で、 社会保険労務士にどんな価値があるのか、何ができるのか、 を常に考えながら日々の業務を行っていかなければならない、 と強く考えさせられた講演会の内容でした。
☆たいへん有意義な講演を受講することができました。
※以上、今回は野口悠紀雄さんの講演会の内容を簡単に記載させていただきました。 |