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【書籍紹介】「中年期とこころの危機」

☆今回は、高橋祥友さんが書かれました「中年期とこころの危機」という書籍の一部を

 紹介させていただきます。

 

☆また後半では、ゴーギャンコンプレックスについて書かせていただいております。

 

 

 ◆著者の高橋祥友さんは、

  (執筆当時、)医師になられて20年を過ぎた40代後半の精神科医の方です。

 ◆中高年(特に男性)の診察をしながら、“中高年のこころの健康は他人事ではない”と感じられて

  本書を執筆されたそうです。

 

<はじめにより>

 ■高度成長の時代は、本来中年期に直視しなければならない問題も

  避けて通ることができていたのかもしれません。

 ■しかし高度成長期が終わって、本来中年期に直面しなければならない“こころの危機”

  にいよいよ正面から立ち向かわざるを得なくなった、というのが現在の状況といえます。

 

 ■中年期になると、

  「自分とはなんだろう」「残された人生で自分に与えられた課題は何なのだろう」

  といった問題から、子どもの自立、親の病気や死、配偶者との関係、自分の病気など、

  さまざまな課題が目の前に現れてきます。

 ■そして、若い頃のようには試行錯誤も許されず、

  失敗すれば自ら責任を負わなければならない、という現状の間で葛藤することとなります。

 

 ■このように、中年期というのは、人生がもたらす数多くの問題に独力で立ち向かうことを

  要求される厳しい世代でもあるのです。

 

 ■私(高橋さん)もまさに中年の只中にあります。

 ■人生の折り返し点を過ぎた時点での宿題を与えられたつもりで、読者の皆様とともに、

  中高年のこころの健康をどう保つかという課題に取り組んでまいりたいと思っております。

 

 

 

 

  1. <第一章 Aさんの例>

 ■Aさんは40代後半、中堅商社に勤務している課長職の男性です。

 ■昇進はごく普通のペースで、奥さんはアルバイト、大学生と高校生の子供さんがいます。

 

 ■Aさんは仕事にも家庭にも満足しています。

 ■表面的には、理想的な父親であり会社員と見えるかもしれません。

 

 ■しかし最近、「これが本当に自分の求めていたものなのだろうか?」

  という疑問がふと湧いてくることがあります。

 

 ■もう人生の半分は過ぎている。

 ■半分と言ってもそれは平均寿命の上での半分であって、実際に仕事ができる年数を考えれば、

  半分をはるかに過ぎている。

 ■「人生の折り返し点をとっくに通過してしまった」という思いに

  突然圧倒される気がしてきたのです。

 

 ■仕事も順調で家族も幸せで、これ以上何を望むのかと思う反面、

  自分にはこれ以外の人生はなかったのだろうか、という気持ちも否定できません。

 ■人生に「リセットボタン」があったら、

  今の自分はそのボタンに手が伸びるのではないだろうか・・・

 

 ■そういえば、Aさんは最近、街を歩いていて、ふと大きな溜息をついている自分

  に気づくことがあります。

 ■「でも、結局自分はゴーギャン(※)のようにできないのはわかっているんだけどな」

  とAさんは心の中でつぶやきながら、

  書棚の奥から取り出した文庫本のページをめくり始めるのでした~

 

 

  ◇書籍「中年期のこころの危機」の紹介は以上となります。  

  ◇以下はゴーギャンコンプレックスについて書かせていただきます。

 

  

  (※)ゴーギャン・コンプレックス

    〇「ゴーギャンコンプレックス」や「ミドルエイジ・クライシス(中年の危機)」は、

    いずれも40歳前後にありがちな心の葛藤をあらわす言葉です。

 

   〇ゴーギャンコンプレックスは、フランスの画家であるポール・ゴーギャン(さん)に

    由来しています。

 

   〇ゴーギャンという方は画家になる前は、フランスの証券会社で働く実業家だったそうです。

   〇家庭も順調で奥さんと5人の子どもさんに囲まれた幸せな生活を送っていて、

    絵画はもともと趣味で描いているにすぎなかったのだそうです。

 

   〇しかし株式市場の暴落をきっかけに、30代半ばでサラリーマンを辞めて画家となり、

    さらに妻子もすべて捨てて、「人生をやり直したい」として43歳のときにタヒチへと渡りました。

 

   〇このことから、40代で「すべてを捨て、人生をやり直したい」と思うことを

    「ゴーギャンコンプレックス」と呼ぶようになりました。

 

   〇特に中年期の男性は、仕事や地位や家庭など守るものが増えていく中で、

    「このままでよいのだろうか」「何とか現状を変えたい」という欲求と、

    「そうはいってもどうにもならない」という現実の間で、

    しばしば葛藤を抱えるようになりなります。

 

   〇人生を24時間と仮定して、この時期までを人生の午前とすると、

    40歳頃は、ちょうど正午にあたります。

      〇この世代に不満と欲求が重なるのは、これからの“人生の午後”に向かって、

    新たな指標が必要になるからです。

 

   〇がむしゃらに一生懸命やってきた人は、

              自分自身を改めて振り返るタイミングになります。

     〇これまでなんとなく生きてきた人も、

    「このままでよいのか」と焦りを感じるタイミングとなります。

 

   〇もちろん、「本当の自分を取り戻したい」という欲求は、どの年代の人の心にもあるものです。

      〇しかし40歳前後になると、「まだ、今なら何とかなる」「これを逃したら先がない」と、

    精神的に追いつめられやすい時期となります。

 

 

   〇「自分の人生、このままでよいのだろうか」という不安。

   〇「自分は、今、幸せなんだろうか」という現状への不満。

   〇「やりたいことがまだまだある」「このままでは終われない」という焦り。

      〇これらが重なり、現状を変えたいという強い衝動が生まれます。

 

   〇しかし一方で、

    「今まで築いてきたものをすべて失ってしまうかもしれない」

    「せっかく手に入れた今の安定をすべて失くしてしまうかもしれない」

    という”ブレーキをかける気持ち”も同時に強く働きます。

 

   〇この両者の気持ちをうまく整理できないと、

    メンタルのバランスを崩してしまって自分自身をコントロールできなくなり、

    ”最悪の結果”になってしまうことにもつながりかねないのです。

 

 

 

 

     ◇「中年の危機」から目をそらすのではなく、見てみぬふりをするのではなく、

      その葛藤から逃げずにきちんと向き合って、この時期に『ちゃんと悩む』

      ことが何よりも必要なことだと考えております。

 

     ◇この中年期に向き合うことから逃げてしまうと、

      それは結局先送りしただけとなってしまい、

      将来、今よりももっと苦しい状況に追い込まれてしまう、と考えております。

 

     ◇上記のような葛藤を感じておられる方は、ぜひとも注意ください。

 

 

 

  ☆以上、今回は高橋祥友さんの書かれました書籍「中年期とこころの危機」のご紹介と

   ゴーギャンコンプレックスについて書かせていただきました。

 

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