★東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授による労働法学研修(第六回)を受講
いたしました。
◇今回のテーマは、 「職場規律」と「懲戒処分」 についてです。
■懲戒処分は、 会社が従業員の企業秩序違反行為に対して科す「制裁罰」とされます。
■会社は企業経営上の必要性からそのような権利(懲戒権)を持ち、 労働者は雇用されることにより、当然に、義務(企業秩序遵守義務)を負う、 と判例(裁判所)は考えていると言える、とのことでした。
■労働契約法:第15条(懲戒) 使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、 労働者の行為の性質、態様、その他の事情に照らして、 客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合は、 その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。 (一部省略しております。)
■上記の「労働者の行為の性質、態様、その他の事情」とは、 ・行為の内容と悪質さ ・企業秩序への影響 ・情状(過去の処分歴や反省の有無) ・他の労働者の処分との均衡 ・行為から処分までの期間 などとのことでした
■懲戒処分が有効になされるためには、以下の点が必要となります。 ①就業規則などにその根拠規定(「懲戒の種別」と「懲戒の事由」)が明確に定められていること。 ②この就業規則の規定が労働者に「周知」され、かつ、「合理性」があること。 ③当該懲戒処分が「権利の濫用」に当たらないこと。 ・例えば、不当に重すぎる懲戒処分であると判断された場合は、 権利の濫用に当たるとして、無効判断がされる可能性があります。 ④懲戒処分を行うにあたって、適正な手続きを踏んでいること。 ・懲戒事由を告知して「弁明の機会」を与えていることが必要です。 ・たとえきちんと就業規則に定められていても、その手続きが正しく踏まれていない場合は、 その懲戒処分は手続不備で無効である、と判断される可能性があります。
■一般的な懲戒処分の種類(実際はそれぞれの会社によります。) 1.戒告・けん責(戒告は口頭注意、けん責は始末書提出を求める場合が多いようです。) 2.減給 3.出勤停止(あまりにも長すぎるものを認めなかった判例もあるとのことです。) 4.降格 5.諭旨解雇(会社が退職を勧告し、本人の願い出によるという形で退職となる処分。) 6.懲戒解雇(もっとも重い処分。)
■一般的な懲戒事由(実際はそれぞれの会社によります。) 1.経歴詐称(学歴、職歴、犯罪歴) 2.業務命令違反(配転命令、所持品検査命令など) 3.職場規律違反(ビラ配りなど) 4.無断欠勤 5.会社物品の私用(会社PCでの私用メールなど) 6.私生活上の非行(私生活上での傷害事件など) 7.二重就職・兼業規制(許可制の場合の未申請などの場合も)
※わかりやすい文章にするために、 法律用語・言い回しなどを一部代えさせていただいております。
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