★東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授による労働法学研修(第九回)を受講いたしました。
◇今回のテーマは、 「賃金」 についてでした。
◆まず「賃金」とは何でしょうか? ・この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、 労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。 (労働基準法第11条)
◇その中で今回は、「賞与(ボーナス)」を取り上げさせていただきます。
〇まずボーナスを支給するかしないかは、会社の自由な判断となります。 〇したがって会社や職種によって、 ボーナスのない会社や、ボーナスが支給されない職種の方もたくさん存在します。
〇またボーナスが支給される場合であっても、会社によってその算定方法は様々です。 〇勤続年数・年齢・出勤率・人事考課・成績評価・企業業績などを考慮して決める場合もあれば、 役職などに応じて一定額を支給する会社もあると思います。
では、 ◇ボーナスを支給する会社の多くが定めている、 「賞与は、賞与支給日に在籍している者に対し支給する」 という規定は許されるのでしょうか?
■この規定を言い換えますと、 「たとえどんなに頑張った社員であったとしても、 ボーナス支給日の前に辞めちゃった人には、ボーナスはびた一文 払いませんよ。」 という意味になります。 ■社員にとって、こんな働き損になる規定は許されるのでしょうか?
⇒結論から言いますと、裁判で、 この規定は「有効(許される)」と判断されています。
〇最高裁判所は、昭和57年10月7日―大和銀行事件で、 「給与規定などの規定があれば、 ボーナス支給日に在籍している人だけにボーナスを支給するという規定は 許される(合理性がある)。」 と判示しています。
■これは、ボーナスを 「過去の労働に対する対価としての意味」だけではなく、 「将来の労働に対する意欲向上策としての狙いがあるもの」、 ととらえての判断によるものである、とのお話でした。
■ただし、どんな場合でも認められるというわけではなく、 会社都合の整理解雇の場合や、定年(誕生日)退職の場合など、 退職日を自由に選択できない場合は公序良俗違反により無効とされ、 勤務期間に対応した賞与請求権がある、とされるケースもあるとのことでした。
※わかりやすい文章とするために、 法律用語・言い回しを平易な表現にさせていただいております。 |