★東京大学社会科学研究所の水町勇一郎教授による労働法学研修(第三回)
を受講いたしました。
◇ 今回のテーマは、「就業規則」についてです。 ◇「就業規則」は、その会社の「ルールブック」となるものです。
■就業規則の作成・届出の手続きは、 1.まず会社(経営者)が就業規則(案)を作成する。 2.労働者の過半代表者の意見を聞く。(同意を得る必要はありません) 3.就業規則とその意見を労働基準監督署へ届け出る。 4.就業規則の内容を従業員へ「周知」する。 との流れになります。
・「周知」とは・・・「知ろうと思えば知り得る状態におくこと」とされています。 ・就業規則のコピーを全員に配る、 ・ホームページの中で自由に確認できるようにする などです。
■就業規則に関しては、 「周知されていたといえるのかどうか」が問題となるケースもしばしばみられます。
■ただし今回は、 A.そもそも就業規則には何も書いてない(ルールがない)ことが、 B.長期間にわたって繰り返し社内で行われてきた(労働慣行) 場合に、それはその後も、正式な社内ルールとなるのか?(それは就業規則と同じ効力を持つのか?) についてです。
■裁判例は、 ① 長期間にわたって反復継続して行われ、 ②労使双方がこれを明示的に排除しておらず、 (今まで社長・従業員とも、「これはおかしい」と声を上げていない)
場合には、事実たる慣習(民法92条)として法的効力が認められる、 と示しているとのことでした。
■わかりやすく言い換えますと、 「誰も文句を言わずにずっと社内で続けてきたことは、 それは正式な会社のルールとして認められる。」 ということになります。
◇つまり、 労働者は、上記の三つの要件(①~③)を満たしていることを立証できれば、 労働契約上の権利として、その継続を会社に求めることができる、 との見解を述べられておりました。
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